『談』は、人間および社会について語り合うことを通じて、次の時代を生きる価値観の再構築をめざしています。 このたびは、「談別冊 shikohin world たばこ」をお届けします。昨年の「コーヒー」に続き、(財)たばこ総合研究センター創立30周年を迎えるこの機に「shikohin world」シリーズの第二弾として「たばこ」を取り上げました。 生命維持のため必要とされるものではない嗜好品が、迫害や禁令にもかかわらず、なぜ長い歴史を経て社会に存続し続けるのか。嗜好品といわれるモノを、科学で分析し、文化として眺めると、そこにあらわれるトレンドから、人々の生き方を語ってくれる何かが見えてくると思います。 もとより奥深い「たばこ」のことですから、すべてを語り尽くすことはできませんが、本書ではたばこがかかわる広い生活文化をお示しすることに努めました。とくに、今までは一般に語られることの少なかった側面、葉タバコの植物学、たばこづくりの技術、燃焼の科学、精神薬理学の分野の専門家に語っていただきました。 これらの素材が、喫煙される方にも、喫煙されない方にも、この摩訶不思議な「たばこ」についての理解を深めるうえで一助になれば幸いです。
岡本光義(TASC専務理事)